Staff Note
カフジオクタゴン
筋肉があって、ゴツゴツ、ゴリゴリした馬だなと思いました。苦労した思い出もたくさん。
ノーザンファーム空港B4
藤波 明 厩舎長
写真提供: @luckylilac82743 via X(旧:Twitter)
カフジオクタゴンを最初に見たのはいつですか?
1歳の夏です。実は私が厩舎長になって最初に任していただいた世代の1頭なんです。厩舎長1年目なので、体にボリュームがある馬の方がやりやすいのでは…という配慮があって、そういう馬が集まっていました。カフジオクタゴンも厩舎に来た時点で480kgぐらいありましたね。筋肉があって、ゴツゴツ、ゴリゴリした馬だなと思いました。
その時点でダート向きの印象がありましたか?
見た目もそうですし、動きも力強かったので、ダートっぽさはありました。ただ、厩舎長1年目ということで経験も少なく、そこからどう成長していくのかは読めなかったです。そういった意味で、矢作先生が適性を見抜き、デビューからずっとダートを使っているのは〝さすがだな〟と思います。
写真提供: @umauma_zukushi via Instagram
印象的な出来事はありましたか?
苦労した思い出がありますね。というのも凄く成長の波が大きい馬だったんです。先に骨が成長することで、何カ月かに1回、膝の被りがひどくなって、管理が凄く大変でした。膝が被ること自体は珍しくありませんが、オクタゴンの場合、ひどい時は膝がガクガクするほどでしたからね。
となると調教メニューも工夫されましたか?
膝の被りがひどい時期はケガのリスクも大きいので、どれだけ調教の負荷を落とすかは悩みましたね。逆に言えば、この馬を通して急激に成長する馬の管理方法を学んだとも言えます。
写真提供: @thick_string_ via Instagram
レパードSは厩舎長としての重賞初勝利でした。
厩舎長になってからの勝利は全てにおいて、それまでとは一味も二味も違いました。レパードSに関しては、ホー騎手がうまく乗ってくれましたよね。嵌まった感じはありましたが、シンプルに〝良かったな〟と感動しました。
レイクヴィラファームの生産馬について印象はありますか?
レイクさんの生産馬を多く担当していますが、人との関係性を理解している馬が多く、総じて扱いやすいです。スタッフの方が定期的に見に来られるのですが、「この馬、小さい頃はこういう感じでした」というふうに、丁寧に説明してくださるんです。凄く手をかけて育てていたことが伝わってきますし、馬への愛情も感じますね。
写真提供: @rumirumi05261123 via Instagram
ホースマンとして思い出の馬はいますか?
アダムスピークです。馴致から送り出すまで自分が担当して、初めて重賞を勝った馬なんです。(11年の)ラジオNIKKEI杯2歳Sを勝った時は凄く興奮しましたし、この馬ならクラシックも獲れると思いました。故障に泣いて、その後は重賞を勝てませんでしたが、忘れられない馬です。
写真提供: @rumirumi05261123 via Instagram
最後に厩舎長という仕事の楽しさや難しさについて教えてください。
日々プレッシャーを感じていますし、精神を削りながらやっています。でも、それぐらい大きな責任のある仕事ですからね。人馬ともにケガをさせられないし、いろんな意味で気は張っとかないといけません。そんな中で手掛けた馬が勝ってくれることがモチベーションになりますし、報われる瞬間でもあります。しんどい中で盛り上がって、また毎日同じことを続けて、疲れた時にまた馬が勝ってくれて…。その繰り返しですけど、本当にやり甲斐のある仕事です。