Staff Note
トリオンフ
背中が柔らかくいい馬でした。屈腱炎の馬の管理は難しかったです
ノーザンファーム空港A1
佐藤信乃介厩舎長
写真提供: @Pagot_M via X(旧:Twitter)
休養中のトリオンフを担当されたんですね。
4歳夏の小倉記念を勝った後、屈腱炎を発症して休んでいる時ですね。明けて5歳となった19年の2月ぐらいから自分の厩舎で預かりました。
第一印象を教えてください。
復帰はできそうな感じでしたが、結構ひどい屈腱炎でした。ただ、乗り出してからはスムーズにいった記憶があります。自分もたまに乗りましたが、背中が柔らかくて、いい馬でしたよ。
復帰戦のチャレンジCが2着。続く中山金杯で重賞3勝目を挙げましたね。
凄い馬だなと思いました。チャレンジCはプラス18kgと馬体重が増え過ぎていたのが気になりましたが、あれだけ動けたのは能力だと思います。
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トリオンフから学んだことはありますか?
古馬の扱いについて考えさせられました。具体的に言うと、休養中は体が重くなり過ぎないように注意しないといけないなと感じました。自分が担当するようになった時点で560kgほどあったんですが、そこから絞るのが大変で、逆に増える時期もあったんです。最終的に550kgぐらいで送り出しましたが、正直もっと絞ってから戻したかったですね。屈腱炎の馬は休みが長くなるので管理が難しいんです。骨折は3カ月ぐらいで運動を始められるんですが、屈腱炎だと半年コースなので。
写真提供: @Pagot_M via X(旧:Twitter)
振り返って、こうすれば良かったということはありますか?
最初の段階で脂肪を付け過ぎないように、エサを工夫すべきでした。極端に体重を減らすと草や敷き藁を食べ過ぎるので、タンパク質の量とエネルギーの量の割合が大切なんです。タンパク質は脂肪になりにくいので多めにあげて、エネルギーをもっと減らしても良かったかなと思います
レイクヴィラファームの生産馬について印象はありますか?
固定観念がマイナスに働くこともあるので、血統や生産牧場はあまり意識せず、馬を個々で見るようにしています。だから、レイクの馬だからどうこうというのはないですね。ただ、馬が牧場から育成厩舎に移動してくる際、レイクのスタッフの方が凄く一生懸命なんですよ。話を聞いていると、その馬を大事に育ててきたという思いが伝わってくるので、こちらとしても何とかいい成績を残したいと思います。
個人的な思い出の馬についても教えてください。
どの馬が一番とは決められないけど、メジャーエンブレムは思い出深いです。厩舎長になる前に乗せてもらっていたんですが、気性が凄く難しくて、どうやってコントロールすればいいのか、凄く考えさせられました。というのも、能力がある馬ほど心と体のバランスが崩れやすい印象があるんです。心と体の成長とマッチしてこない感覚があって、そこがズレたままだと、気持ちだけが先行してしまって…。
他にもそういう馬はいましたか?
レイパパレもそうでしたね。正直、もう少しうまく育成できたんじゃないかという思いがあります。気が入りやすくて、距離はマイルぐらいまでとみていたので、最終的に2000mを使えたのは陣営の努力の賜物でしょう。リバティアイランドも紙一重なところがあって、オークスを勝てた時はホッとしました。パッと見た感じだと〝引っ掛からなかったね〟で終わるレースだと思うんです。でも、我慢させられたのは、そこまでの積み重ねがあったからなんですよね。当時、1週前追い切りが馬なり単走で〝軽過ぎるんじゃないか!?〟と言われていましたけど、陣営はメンタルを考えて攻めなかった。それでも本番はギリギリだったと思います。桜花賞、オークスと勝つことはできましたが、自分もかなり苦労しましたし、もっとできることはあったんじゃないかと考えています。
速く走らせないといけない反面、我慢も覚えさせないといけないですよね。
行っている中で折り合えるかどうかですね。行く気がなくなったら進んでいきませんから、気持ちを殺さないようにしつつ、コンタクトもしっかりとれるように。そこは今後も自分のテーマになりますね。
トリオンフ
Data
- 2014年04月21日 生まれ 騸
- 第52回小倉大賞典(G3)・第54回小倉記念(G3)・第69回中山金杯(G3)
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父タートルボウル
母父ダンスインザダーク
上場市場:HBAサマーセール
トリオンフの紹介ページ