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【欧州セール遠征2024】
スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて②
2025.01.06 Column
この日はタタソールズのセール初日でしたが、候補に挙がった馬がいなかったため、種牡馬見学に充てることとしました。多くの名馬、名種牡馬の写真、動画を撮ってきましたので、2回に分けて紹介します。
まずはロジャー・ヴァリアン厩舎へ。ヴァリアン調教師は英国を代表するトレーナーの一人。奥さんが日本人の花子さんということもよく知られています。厩舎は趣があり、それでいてトレセンのような立派な施設なので驚かされました。
ここでは今年から種牡馬となるチャリンを見せていただきました。昨年のクイーンアンS、ジャックルマロワ賞、クイーンエリザベスⅡ世Sを制した欧州最強マイラー。ラストランとなったマイルCSは5着でした。
是非とも動画をご覧ください。何より強調したいのは、欧州のマイラーにしては柔らかいということです。トモは斜尻、かつ少し前重心になりやすそうな体型。マイルCSでは出遅れた後、3角からの下り坂で勢いをつけて、直線で追い込んできたのですが、〝そういうレース運びになるよな〟と納得させられる馬でした。切れ味は間違いなく一級品。したがって少しパワー寄り、そして先行タイプの繁殖が合うのではないでしょうか。
続いてはシャドウェルスタッドへ。ここでは22年の欧州年度代表馬に選ばれたバーイードが繋養されています。一目瞭然、バランスが素晴らしい馬でした。筋肉の豊富さは母の父のキングマンボ、しなやかな質は母系のグローリアスソングの影響でしょう。日本でも間違いなく走ったと思いますし、天皇賞(秋)でイクイノックスと鎬を削るシーンが見たかったですね。ちなみにレイクが一昨年のアルカナ・ディセンバーセールで購買したレディハリウッドは昨春、バーイードを種付けして無事に受胎しています。既に来日済みで、今春に出産予定。来年のセレクトセールに上場するかもしれませんので、その際はご注目ください。
こちらは一昨年の欧州最優秀古馬のモスターダフです。プリンスオブウェールズSと英インターナショナルSを制するなど、10F前後では無類の強さを発揮しました。コンパクトで洗練された馬という第一印象。ただ、フランケルの中では少し硬く感じました。日本向きかと言われると難しく、母馬から高速決着への適性を引き出したいところです。
トゥイーンヒルズスタッドではカメコを見ることができました。日本でもお馴染みのO.マーフィー騎手が主戦を務め、20年の英2000ギニーを制しています。形は父のキトゥンズジョイですが、トモや体質には母系のデインヒルの力強さを感じました。総合的に考えると、産駒は2歳戦から走れるのではないでしょうか。
イギリスで数日を過ごし、こちらの馬は種牡馬に限らず、日本の馬に比べるとコンパクトな印象を受けました。これはカイバが要因だと思われます。実は日本と比較すると、欧州では大豆や燕麦などの濃厚飼料がかなり少なく、生えている草などの粗飼料が中心。それゆえ、パワー型とされる馬でも意外に華奢な馬が多かったです。どちらがいいというものではないですが、非常に興味深く感じました。
次回も種牡馬見学の模様をお届けします。
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前回は【欧州セール遠征2024】スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて①をご覧ください。