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【欧州セール遠征2024】
スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑧
2025.02.06 Column
この日はアルカナのセール当日ですが、午前中は候補の馬がいなかったので種牡馬見学へ。ボーモン牧場を訪ねました。
トップバッターはプシュキンです。昨年のジャンプラ賞の勝ち馬。G1は1勝のみ、しかも当時は10番人気だったのでフロック視されるかもしれません。ただ、レースぶりは番手から抜け出して2馬身半差の完勝と、堂々たるものでした。馬体も短距離馬らしく頑強で、とりわけトモの力強さはピカ一。自身の成績通り、スピードのある馬を多く送り出すのではないでしょうか。
続いては大物中の大物、一昨年の凱旋門賞を制したエースインパクトです。C.デムーロ騎手が主戦を務め6戦6勝。仏ダービーをレコードで制すると、秋には凱旋門賞で古馬を一蹴。その後はジャパンC参戦も噂されましたが、そのまま引退。昨年の種付料は4万ユーロ(約650万円)で、これはフランスの新種牡馬としては史上最高額でした。ちなみに産駒からみるとフランケルは3代前。時が経つのは早いですね。
※エースインパクトの馬着
※凱旋門賞のトロフィー
動きはクラックスマン産駒らしく少し硬いところがあったものの、筋肉は柔らかく、キレそうな印象を受けました。個人的な感覚では、このキレは母の父アナバーブルーに由来するもの。そしてアナバーブルーはフィリーサイアー(牝馬の活躍が目立つ種牡馬)なので、エースインパクトもそうなるのでは…と予想しているのですが、果たしてどうでしょうか。
最後はアンテロです。欧州ではお馴染みの「父ガリレオ×母の父デインヒル」の配合で、13年の仏ダービーを制しています。ラストランとなった凱旋門賞はトレヴ、オルフェーヴルに続く3着。ちなみに4着はキズナでした。
ドイツで生まれ、現役時代はフランスのA.ファーブル厩舎に所属していましたが、実馬を見ると〝イギリスの馬〟という感じ。というのは、いかにもガリレオ系っぽい馬力が伝わってきたからです。日本で走らせるという視点で考えると、母系はスピードを補える短距離血統、あるいはアメリカ血統がいいでしょう。ちなみに産駒はJRAで2頭が走り、ロゼフレアが2勝を挙げていますが、母の父はインヴィンシブルスピリット。やっぱりこういう配合が合うんだろうな、と膝を打ちました。
嬉しいことにイギリス、フランスで多くのトップサイアーを見ることができました。今後、これらの馬の産駒を手掛ける機会もあるはず。父の姿と重ね合わせて、〝ここは似ているな。でも、あそこは…〟などと考える日が待ち遠しいですね。
いよいよ次回は最終回。アルカナのセール本番の模様をお届けします。
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前回は【欧州セール遠征2024】スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑦をご覧ください。