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【欧州セール遠征2024】
スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑨

2025.02.14 Column

午前中の種牡馬見学を終え、午後はセリ場へ。いよいよ勝負の時です。

狙いをつけたのは183番のArmiraでした。15年にGIを4勝し、欧州最優秀スプリンターに選ばれたムハーラーの産駒です。現役時代はドイツで8戦3勝。昨夏以降はGIIIで2着、8着、GIIで6着、そしてラストランとなった9月のGIII・コルナースプリントトロフィー(芝1400m)で重賞初制覇を果たしました。勝ち時計は1分20秒68と優秀だったので、このまま現役を続けていればGI制覇も夢ではなかったかも。何より高速決着に適性があった=日本の芝向きの可能性大です。
Armiraの全身

結果は40万ユーロ(約6300万円)で落札。実績だけを見ると、バリバリの一流馬というわけではなかったので、これぐらいの価格で落ち着いたのかなという印象。日本から来ていて他の牧場の方々にも祝福されて、いい買い物ができたという満足感に包まれました。

セリ後に改めて馬体を見ると、バランスが良く、同時にオアシスドリーム系らしいキレのありそうな体質が目に付きました。個人的な感覚ですが、中距離のサンデーサイレンス系の牝馬と相性が良さそうです。また、母のいとこのクルーガー16年のマイラーズC20年のダービー卿CTを制し、19年の豪GI・クイーンエリザベスSではウィンクスの2着。一族に日本での活躍馬が出ているのは心強いですね。

レイクヴィラファームではジョプリンに続き、2頭目となるドイツ牝系の導入です。実はジョプリンは初仔のジュビランスを出産した後、残念ながら天国に旅立ちました。それだけに今度こそ、洞爺の地にドイツ血統を根付かせたいという思いです。

会場の様子も紹介しましょう。セリ場は扇形、かつすり鉢状になっているので、どの位置からも見やすかったです。何より整備が行き届いていて綺麗でした。また、レストランからもセリに参加できるようになっているのがオシャレ。我々も食事をしながら競りました。
アルカナセリ場

アルカナセリ場

アルカナセリ場

今回の欧州出張で最も印象深かったのは、欧州の馬がそこまで大きくないことでした。日本を含む世界各国のサラブレッド生産事情に詳しい現地のホースマンに聞いた話では、「産まれ落ちは日本の馬も欧州の馬もそこまで変わらないが、日本の馬は1歳になる過程でかなり大きくなる(大きくつくっている)」とのこと。それでも日本馬は欧州のGIでなかなか勝てないわけですから、競走馬として走らせるという観点であれば、日本は今ほど立派に馬をつくる必要はないのかもしれませんね。

また、調教では意図的に足元の悪い場所を走らせていたことも印象的でした。これによって体幹の強い、バランスを崩しにくい馬になるそうです。確かに凱旋門賞に遠征した多くの日本馬が、「荒れた馬場に対応できなかった」ことを敗因に挙げています。このあたりの適性は血統よりも、調教に因るところが大きいのではないでしょうか。

※ニューマーケットのウォーレンヒル

最後になりますが、今回の旅では2頭の素晴らしい牝馬を購買できました。このご縁に感謝するとともに、いい産駒を送り出し、販売元の牧場様に良い報告ができるように務めて参ります。

※シャルルドゴール空港
シャルルドゴール空港

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前回は【欧州セール遠征2024】スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑧をご覧ください。