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【米国セール遠征2024】
スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑥
2024.11.29 Column
午前中にキーンランド競馬場を満喫した我々は、ランチをいただいてから種牡馬見学に向かいました。2日間に分けて、6つの名だたるスタリオンを訪問。動画と写真を撮ってきましたので、順番に紹介します。
まずはレーンズエンドファームへ。全米でも有数の生産牧場。オーナーのウィリアム・ファリシュ氏は01年から04年まで在イギリスアメリカ合衆国大使を務めたことがあり、その縁でエリザベスⅡ世が渡米した際に滞在したこともあるそうです。敷地に入ると、かつて繋養されていたエーピーインディとキングマンボの銅像が出迎えてくれました。
場内には自然がたっぷりと残っていて「綺麗」の一言。牧場の歴史をつくってきた名馬の墓は、牡馬と牝馬に分けて、扇形に配置されています。キングマンボの名前も見えますね。
※牡馬の墓
※牝馬の墓
厩舎に向かうと、いきなり大物中の大物が出てきました。GⅠの4勝を含めて6戦6勝、史上最強馬の呼び声もあるフライトラインです。今年の種付料は15万ドル。圧倒的な筋肉量を誇りながら、重苦しさは全くありません。実はレイクでも今年3月9日にフライトライン産駒の牡馬(母ベッラガンバ)が生まれています。来年のセレクトセールに上場予定ですので、是非ともご注目ください。
2頭目はクオリティロードです。今年の種付料は20万ドル。数多くのGⅠ馬を輩出しているスーパーサイアーですが、レイクのスタッフとしては「ドンパッショーネのお父さん」という印象ですね。次に出てきたのはクオリティロード産駒のシティオブライト。代表産駒のフィアースネスは今年のトラヴァーズSを制し、BCクラシックで2着でした。アメリカのダート馬は全体的に大柄ですが、その中でも抜けて大きく、とにかく迫力があります。
※クオリティロード
※シティオブライト
続いてスリーチムニーズファームです。設立は72年。史上初めて無敗で米3冠を制したシアトルスルー、第1回のBCクラシックを制したワイルドアゲインなどを有した名門です。今年から日本のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで種牡馬となったパレスマリスも繋養されていました。海外のスタリオンはどこも綺麗ですが、スリーチムニーズファームは門を入ってすぐの大木が印象的。樹齢はどれほどでしょうか。
※シアトルスルーの銅像です
トップバッターはガンランナー。GⅠは6勝。17年にBCクラシックを制して米年度代表馬に選ばれ、18年にはペガサスワールドCを制しました。種牡馬としても大成功。シエラレオーネがBCクラシックで父仔制覇を達成したのは記憶に新しいところです。日本ではJBCレディスクラシックで5着だったドライゼが出世頭となりますね。今年の種付料は25万ドル。動画をご覧いただければお分かりいただけるように、意外にも!?そこまで大きな馬ではありませんでした。
続いて登場したのはガンパイロットです。今年5月のチャーチルダウンズS(ダート7F)でGⅠ初制覇。先日のBCスプリント(4着)がラストランでした。ガンランナー産駒であることに加え、チャーチルダウンズSはディストーテッドヒューマーやスパイツタウンも制した〝名種牡馬の登竜門〟ですから、かなりの確率で成功するのではないでしょうか。ただ、この日は牧場に移動してきたばかりとあって、父に比べると随分と薄く映りました。
最後にヴォラタイルです。日本では聞き馴染みのない馬ですが、20年にアルフレッドG.ヴァンダービルトHというヤケに長いレース名のGⅠを制しています。筋肉量があって、いかにもという感じのスプリンター。現2歳のファーストクロップが好調で、JRAでもテーオーエルビスが京都の未勝利を大差勝ちしています。来年のセールでは多くの日本人がヴォラタイル産駒を買い求めるかもしれませんね。
この日の最後はダーレーのジョナベルファームです。ここで日本のファンに馴染み深いのはメダグリアドーロでしょう。今年で25歳なので顔は少々老けていますが、種付料7万5000ドルで現役。舌をペロペロしているのがかわいいですね。
続いてはコディーズウィッシュです。昨年の米年度代表馬ですが、その成績以上に難病を患った少年とのエピソードが有名ですね。アメリカには脚向きの難しい馬が多いのですが、この馬も両前脚ともに内向していました。それでもこれだけの名馬に育て上げる技術はさすがというしかありません。
こちらはナイキスト。15年のBCジュヴェナイル、16年のケンタッキーダービーなど、GⅠを5勝しています。脚が長めで、とてもバランスのいい馬でした。
最後はエッセンシャルクオリティです。20年のBCジュヴェナイル、21年のベルモントSなど、GⅠを4勝。近親のコントレイルと同じく、初年度産駒は来年デビューします。タピットの後継種牡馬として大いに期待できそうですね。
本日はここまで。凄い馬が次々に出てくるので、1頭1頭を味わいたいのに消化が追いつかない感じでした。本音を言えば、もっとゆっくりと見たかったですね。次回も名種牡馬が続々と出てくるのでお楽しみに。
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次回は【米国セール遠征2024】スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑦をご覧ください。
前回は【米国セール遠征2024】スタッフが語る繁殖牝馬を追いかけて⑤をご覧ください。